独身に生命保険は必要?備えるべきリスクと選び方のポイント

男性 不安

生命保険は、亡くなったときに家族が保険金を受け取るための備え。このイメージのとおりなら、守る相手のいない独身に出番はなさそうです。ところが、独身でも多くの人が生命保険に入っています。ずれの正体は、生命保険に2種類の保障が混ざっていることです。「独身にいらない」が指すのは、遺された人の生活費を守る死亡保障の話だけです。病気やケガで自分が困ったときの備えも生命保険に含まれ、独身にも要ります。死亡保障の要否は、生活を頼っている人の有無と、死後の費用を貯蓄で払えるかの2つで、自分でも確かめられます。

自分の場合を先に確かめたい方は、オンライン無料保険相談の『保険ゲート』で、必要保障額を試算してもらえます。

目次

生命保険は死んだときのためだけの保険ではない

独身に生命保険はいらないと言われる一方で、実際には独身の6割が生命保険に入っています

独身でも生命保険に入っている人が多数派

生命保険文化センターの「2025(令和7)年度 生活保障に関する調査」(18〜79歳の4,837人が対象)によると、生命保険の加入率は全体で80.0%。未婚の人(回答者938人)に限っても60.3%が入っています。守る相手がいないはずの独身の6割が、保険料を払い続けている計算です。

理由は加入の目的に表れています。同じ調査で直近に加入した契約の目的を尋ねると、「ケガや病気になった際の医療費のため」が54.4%を占め、「万一死亡した時のため」の31.1%を上回りました(直近の加入契約がある3,941人が対象)。生命保険に入る人の半数以上は、死後のためではなく、生きている自分のために入っています。

「いらない」が当てはまるのは死亡保障だけ

生命保険と呼ばれる商品には、性質の違う2つの保障が混ざっています。遺された人の生活費にあてる死亡保障と、病気やケガをした自分の治療費や収入減を支える保障です。入院に備える医療保険やがん保険も、広い意味では生命保険の仲間です。

死亡保障は、自分の収入や世話で生活している人がいて、はじめて役割が生まれます。だから「独身にいらない」という言い方が当てはまりうるのは死亡保障の側だけで、実際、独身には当てはまる場合が多くあります。一方、治療費や収入減への備えは、独身かどうかで要否が変わりません。頼れる収入が自分1本の分、むしろ優先度は上がります。独身に限らない要否の議論は生命保険がいらないってどういう話?自分に必要な備えを知る方法で確かめられます。

生命保険の2つの保障の図解。死亡保障は扶養する親など遺された人の生活費、自分のための保障は病気やケガによる治療費と収入減。独身でも特に治療費と収入減の備えは必要

独身がまず備えたいのは治療費と働けない間の収入減

備えといえば死亡保険が浮かびますが、独身が実際に直面しやすいリスクは、病気やケガの治療費と、働けない間の収入減です。過去5年間に入院を経験した人は20代で8.4%、30代で11.2%と、若い年代でも1割前後います(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度・18〜79歳の4,837人が対象)。働き盛りで亡くなる場面はまだ想像しにくい年代でも、入院はこの割合で起きています。どちらのリスクにも公的な守りが先にあり、足りない分の埋め方には順序があります。

病気やケガの治療費は公的保障で自己負担に上限がある

会社員でも自営業でも、公的な健康保険のおかげで治療費の窓口負担は原則3割で済みます。さらに、1か月の自己負担額には収入に応じた上限が設けられています。高額療養費制度という仕組みです。入院や手術でまとまった請求が来ても、上限を超えた分は戻ってきます。

ただし、この払い戻しはすぐには手元に届きません。窓口では上限を超えた分もいったん立て替えて支払い、申請してから実際に戻るまで診療月から3か月以上かかります。マイナ保険証か限度額適用認定証を窓口で示せば、支払い自体を上限額までに抑えられ、立て替えを避けられます。

このほか、個室を使ったときの差額ベッド代や入院中の食事代など、上限の外に残る費用もあります。上限が自分の収入でいくらになるか、残る費用を貯蓄で払えるかは、医療保険は必要か?いらない理由と、どこまで備えるか決める3つの質問の手順で確かめてください。

働けない間の収入は会社員なら公的な手当がある

治療が長引いて仕事を休むと、独身の家計では収入の減少がそのまま生活費を直撃します。会社員や公務員には、病気やケガで働けない間に受け取れる公的な手当があります。傷病手当金という制度で、給料の全額ではなく、標準報酬日額(おおよその月給を30で割った額)の3分の2が支給される仕組みです。たとえば月収30万円なら、30で割った1日あたり1万円の3分の2でおよそ6,700円が目安になり、1か月分に直すとおよそ20万円です(実際の等級区分によって前後する概算です)。満額は保障されないので、残りは貯蓄で埋める前提になります。

自営業やフリーランスには傷病手当金がありません。働けない期間の収入減は、貯蓄か保険で受け止めることになります。同じ独身でも、働き方によって守りの厚さが変わる部分です。

公的保障、貯蓄、保険の順で足りない分を確かめる

配偶者や家族の収入に頼れない独身は、公的保障と貯蓄の外に残る分を自分だけで埋める必要があります。備える手段は公的保障、貯蓄、保険の3つで、確かめる順序も同じです。

  1. 公的な守りの範囲を知る
  2. 守りの外に残る出費と収入減を貯蓄で乗り切れるか確かめる
  3. 乗り切れない分だけ保険で埋める

この順で見れば、保険は「足りない分を埋める最後の手段」に収まり、入りすぎを防げます。

ここまでで分かるとおり、公的保障には上限があっても、届くまでに時間がかかったり、満額ではなかったりします。高額療養費の上限額は年齢や所得で、傷病手当金の額は給料の水準で変わるので、自分の場合にいくら足りないかは実額で確かめないと分かりません。「保険で埋める」段階で使う候補には、入院や手術に備える医療保険、働けない期間の収入を補う就業不能保険があります。自分の場合にいくら残るかは、「医療保険は必要か」の記事にある3つの質問で計算できます。

独身に死亡保障がいらない場合と、必要になる場合

遺された人の生活費を守る死亡保障の要否は、独身という属性では決まりません。自分の収入や世話に生活を頼っている人がいるか死後にかかる費用を貯蓄で払えるか。基本はこの2つの条件で決まり、自営業で事業の借入がある場合は、これとは別に必要性が生まれます。

自分の収入や世話に生活を頼っている人がいるか

死亡保障の保険金は、遺された人のその後の生活費にあてるお金です。

  • 毎月の仕送りで親の家計が成り立っている
  • 収入のない家族と同居して生活費を出している
  • 籍を入れていないパートナーと家計を合わせている

こうした相手がいる場合、自分に万一のことがあると相手の生活が立ち行かなくなるので、死亡保障の必要性が高くなります。扶養している人がいる時点で、必要性の考え方は結婚して家族のいる人と同じになります。独身かどうかではなく、生活を支えている相手がいるかどうかで判断が決まるためです。

逆に、自分の収入で暮らしているのが自分だけなら、生活費を守るという死亡保障の中心の役割に出番はなく、この目的での必要性は低いといえます。

死後にかかる費用を貯蓄で払えるか

自分の収入や世話に生活を頼っている人がいなくても、亡くなったあとには費用が発生します。中心は葬儀の費用です。鎌倉新書の「第6回お葬式に関する全国調査」(2024年・喪主などを経験した全国40歳以上の2,000人が対象)によると、葬儀費用の総額は平均118.5万円でした。葬儀そのものの基本料金に、参列者への飲食費と返礼品の費用を合わせた金額です。このほかに、納骨の費用や、住まいの片付け、各種契約の解約といった死後の整理にもお金がかかります。

そして、これらを払うのは自分ではありません。何も用意がなければ、親や兄弟姉妹が立て替えることになります。

貯金がいくらあれば死亡保障なしでよいか

一律にいくらという答えはなく、確かめ方は死後の費用と貯蓄の突き合わせです。葬儀費用の平均118.5万円を出発点に、望む葬儀の規模で増減させ、納骨や住まいの片付けの分を上乗せする。この見積もりを自分の貯蓄が上回っていれば、遺された人が費用に困る事態は起こりにくく、死亡保障で備える必要性は低いといえます。

この基準を自分の貯蓄額に当てはめると、年代によって見え方が変わります。金融経済教育推進機構(J-FLEC)の「家計の金融行動に関する世論調査2025年」単身世帯調査によると、一人暮らしの20代の金融資産保有額は中央値37万円(20代548人が対象)です。30代の中央値は100万円(30代325人が対象)。ここでの金融資産は、日常の出し入れに使う預貯金を除いた、将来に備えた資産です。葬儀費用の平均118.5万円と比べると、20代の中央値はまったく届かず、30代もぎりぎり届きません。いずれの年代も金融資産を持たない人は3人に1人程度いますが、その中には日常の口座残高がある人も含まれます。

貯蓄が100万円未満の人の割合(金融資産非保有と100万円未満の合計)は、20代57.8%・30代46.5%・40代47.2%・50代45.3%です。「貯蓄が上回っていれば大丈夫」という条件は、年代を問わず自分の貯蓄額で確かめる意味があります。

一人暮らしの貯蓄の図解。貯蓄が100万円未満の単身世帯の割合は20代57.8%・30代46.5%・40代47.2%・50代45.3%で、まとまった出費に耐えられない人がどの年代でも半数近い

貯蓄が見積もりに届かない場合や、貯蓄はあっても老後資金など別の使いみちを予定している場合は、不足分を死亡保障で持つ意味が出てきます。

すでに生命保険に入っている独身の人も、続けるか見直すかは同じ2つの条件で確かめられ、親のすすめで入った保険の保障額が大きすぎるなら見直しの候補です。

事業の借入がある場合

自営業で事業の借入がある人は、この2つの条件だけでは判断できません。借金は原則として相続する人に引き継がれ、相続放棄という手段はありますが、借金だけでなく預貯金や自宅などの資産もあわせて受け取れなくなります。借入の残高に見合う死亡保障を持っておけば、相続放棄を選ばずに返済分を保険金でまかなえます

仕送りの額や貯蓄の残高、借入の残高が条件の境目にあって決めきれないときは、オンライン無料保険相談の『保険ゲート』で、必要保障額の試算や加入中の保険の点検をしてもらえます。

独身が生命保険に入るときの決め方

死亡保障を持つと決めたら、決めることは4つです。保障額、掛け捨てか終身か、毎月の保険料、受取人。金額の目的を先に固めると、あとの3つが順に決まっていきます。

保障額はいくらにするか

保障額は、死亡保障を持つ目的から積み上げます。死後の費用にあてるなら葬儀や整理の見積もりに相当する分。親への仕送りを守るなら、たとえば月5万円なら年60万円というように、親が年金だけで暮らせるようになるまでの年数分を上乗せします。事業の借入がある場合は、借入の残高に見合う額を目安にします。

独身の場合の死亡保障額の考え方の図解。備える目的ごとの必要になる額は、死後の費用が葬儀と整理の見積もりに相当する額、親への仕送りが年間の仕送り額かける続ける年数、事業の借入が借入の残高に見合う額

参考として、生命保険に加入している人の死亡保険金額の分布を見ると、人数が多いのは200万円以上500万円未満の層です(男性16.9%・女性28.6%。生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度・18〜79歳の4,837人のうち加入者が対象)。この分布は加入者全体のもので、配偶者や子どものために数千万円の保障を持つ人の契約も含まれます。葬儀費用と整理の費用、数年分の仕送りをまかなう額として、200万〜500万円程度から検討を始めると、大きすぎる保障で保険料に追われる事態を避けられます

掛け捨てと終身のどちらにするか

保障の期間を10年などと区切るタイプが定期型で、期間が終わると保障が残らない、いわゆる掛け捨てです。保障が一生続くタイプが終身型で、保険料は高めな分、解約したときにお金が戻る商品が多くあります。

独身の死亡保障の中心は、親への仕送りや事業の借入のように終わりの見える備えです。期間を区切れるので、保険料を抑えられる掛け捨ての定期型が基本になります。一方、葬儀費用のようにいつ必要になるか分からない備えは、終身型で持つか、貯蓄を積み増してまかなうことになります。

毎月の保険料の目安

生命保険に加入している人が1年間に払い込む保険料は、平均で男性19.6万円、女性15.4万円。月に直すと男性はおよそ1万6千円、女性はおよそ1万3千円です(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度・加入者3,111人が対象)。

この平均には医療保険などへの支払いに加え、家族向けに大きな死亡保障を持つ人の保険料も混ざっています。数百万円の死亡保障を掛け捨てで小さく持つだけなら、毎月の負担はこの平均より軽く収まるのが通常です。保険料は同じ内容でも性別と年齢で水準が変わり、年齢が上がるほど高くなります。

受取人は誰にするか

保険金を受け取る人が受取人です。指定できる範囲は原則として、配偶者と2親等以内の血族。独身なら親、兄弟姉妹、祖父母、孫が該当します。何もしなければ親を指定する形が中心になります。

結婚していないパートナーは、この原則の範囲に入りません。ただし、条件を満たすと指定できる場合があり、条件と可否は保険会社によって扱いが異なります。パートナーにお金を残したい人は、加入前に指定の可否を確かめてから商品を選んでください。

受取人は加入後に変更できます。独身のうちは親を受取人にして入り、結婚したら配偶者へ変更する、という流れが取れるので、いま結婚の予定が決まっていないことは、加入を先送りする理由にはなりません

年代別に見る独身の生命保険の入り方

まず自分の治療費と収入減に備え、死亡保障は生活を頼っている人の有無と、死後の費用を貯蓄で払えるかで決める。この進め方は、20代でも50代でも変わりません。一方、保険料の水準、健康状態による入りやすさ、親の状況、老後の備えとの兼ね合いは年代で変わります。自分の年代の欄で、入るならいつ、どう入るかを確かめてください。

年代ごとの年間保険料の平均は次のとおりです(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度・年代別の加入者が対象。20代149人・30代355人・40代576人・50代734人)。

年代年間保険料の平均月換算
20代11.8万円約1万円
30代15.9万円約1.3万円
40代19.1万円約1.6万円
50代20.0万円約1.7万円

ここでも平均には保障の大きい人の分が混ざります。

20代の独身

貯蓄がまだ薄い時期は死後の費用を払いきれない場合があり、小さな死亡保障がその穴を埋めます。ただし優先順位は、治療費と収入減への備え、それに貯蓄づくりが先です。若く健康なうちは加入の審査に通りやすく、入ると決めたときの選択肢が広い時期でもあります。

30代の独身

健康診断の数値に指摘がつき始める年代で、加入の条件が絞られる前に、入るかどうかを決めておく意味が出てきます。結婚の予定が未定でも構いません。生活を共にする相手ができたときが、保障額を増やす方向で見直す節目になります。

40代の独身

親が年金生活に入り、仕送りで親の家計を支える場面が具体的になる年代です。仕送りが始まれば、生活を頼る人がいるケースに切り替わり、死亡保障の必要性が上がります。保険料の水準も上がっているため、目的を仕送り分に絞って小さく持つと、保険料を抑えられます。

50代の独身

判断の中心は、老後資金との兼ね合いです。貯蓄が死後の費用を上回っていれば新たに入る必要性は低く、入るなら保険料が老後の家計を圧迫しない範囲に絞ります。健康状態によっては選べる商品が限られる場合もあります

まとめ 独身の生命保険は2つに分けて確かめる

「独身に生命保険はいらない」が当てはまるのは、遺す人のための死亡保障だけです。治療費と働けない間の収入減への備えは独身にも必要で、公的保障、貯蓄、保険の順で足りない分を確かめます。死亡保障は、生活を頼っている人がいない、死後の費用を貯蓄で払える、の2つがそろえば必要性が低く、仕送りや借入があるなら目的の分だけ小さく持つ。この条件に自分の数字を当てはめれば答えは出せます。仕送りが少額、貯蓄が境目、結婚の予定が未定。どちらとも言い切れない事情が残る方は、FPに個別の状況ごと整理してもらうと決めやすくなります。

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この記事を書いた人

営業拠点73支店、取扱保険会社47社、コンサルタント1,700名超、実績10万件超、保険代理店のファイナンシャルアライアンス株式会社です。
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