医療保険は必要か?いらない理由と、どこまで備えるか決める3つの質問

入院

病気やケガで入院すると、まとまったお金が出ていきます。これに備えるのが医療保険です。いらないという声もありますが、入院でお金が出る保険に18〜79歳の65.6%が入っています。医療保険が必要かで意見が割れるのは、公的な健康保険で自己負担に上限があり、その額を出せる人と出せない人がいるからです。答えを分けるのは、働けない間の収入、動かせる貯金、医療費以外の事情の3つです。

自分に医療保険が要るのかを先に確かめたい方は、ファイナンシャルアライアンスの無料相談『保険ゲート』で、FPに直接聞けます。

目次

病気やケガでお金に困るのは、どんなとき?

入院したとき、手術を受けたとき、そして治療が長引いて働けなくなったとき。お金の面で困るのはこの3つの場面です。出ていくお金は、治療費そのもの、治療費以外の出費、収入の減少に分かれます。公的な健康保険が大きく下げてくれるのは治療費だけ。残る2つのうち医療保険が受け持つのは入院した日数分と手術の分で、働けない期間の収入減はここからはみ出します。

医療保険が受け持つ場面と、そうでない場面

入院したときと手術を受けたときは、治療費がまとまって出ていきます。健康診断の再検査で見つかった病気での数日の入院や、骨折の手術がこれに当たります。医療保険からお金が出るのも、この2つの場面です。

これとは別に、治療が長引いて働けなくなる場面があります。入院が1週間で終わっても、退院してすぐ元どおりに働けるとは限りません。休んでいる間は収入が細り、治療費の支払いは続きます。この落ち込みは、入院した日にお金が出る医療保険では埋まりません。公的な制度と、働けないときのための別の保険が受け持つ領域です。自分の心配ごとがどれに当たるかで、必要な備えは変わります。

入院でかかるお金は3つに分かれる

入院や手術でかかるお金は、性質の違う3つに分かれます。1つ目は治療費そのもので、検査、薬、手術、処置にかかる費用。2つ目は治療費以外の出費で、個室などの部屋代、入院中の食事代、通院の交通費、公的な保険が効かない新しい治療の費用が入ります。3つ目が収入の減少です。

公的な健康保険が大きく引き受けるのは1つ目だけです。窓口で払うのは原則3割で、それでも高くなった月には自分で払う分に上限がかかります。2つ目には健康保険が届きません。個室を希望した分の部屋代を肩代わりしてはくれないのです。3つ目は加入先しだいで、勤め先の健康保険なら給料の一部を受け取れますが、満額には戻りません。

入院にかかるお金(治療費・治療費以外のお金・家族などの生活費)を公的な健康保険と医療保険がそれぞれどこまでカバーするかを示した図解

医療保険が要るかどうかが人によって分かれる理由

保険は、起きる確率は高くないけれど、起きたときに自力では払いきれない出費に、少額の保険料で備える仕組みです。家が焼けたときの建て直し費用や自動車事故の賠償金は、貯金では足りません。だから火災保険や自動車保険は、要るか要らないかで割れません。

入院や手術の費用はここが違います。公的な健康保険のおかげで、自分で払う分は月ごとに頭打ちになるからです。その金額を貯金から出せる人もいれば、出せない人もいます。医療保険がいらないという声と、入っておいたほうがいいという声が両方あるのは、どちらも自分の家計に照らせば正しいからです。

入院したときにお金が出る生命保険に加入しているのは、18〜79歳の65.6%です(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度)。3人に2人が入っている一方、入っていない人も3人に1人います。

なお医療保険は生命保険の一種で、生きている間の入院や手術に備える点が死亡保障と違います。生命保険そのものの種類と選び方は、生命保険とは?何に備えるための保険かで確かめてください。

入院や手術で医療費はいくらかかるのか

風邪で数日通うくらいなら、窓口で払う3割の負担で足ります。困るのは、入院や手術でまとまった額になったときです。がんなどの腫瘍で入院した場合、1回の入院にかかる医療費の平均はおよそ97万8千円。ただし、窓口ですべてを払うわけではありません。年収約370万〜770万円の会社員なら、公的な制度を通したあとで自分が負担する治療費はおよそ9万3千円です。入院が月をまたぐと上限は2か月分かかり、公的な保険が効かない出費も別に残ります。

入院は何日で終わり、医療費はいくらになるのか

健康保険組合連合会の「令和5年度 健保組合医療費の動向に関する調査」によると、がんなどの腫瘍で入院した場合、医療費は1回の入院あたり平均97万8千円、入院日数は平均10.2日でした。がんに限らず、良性の腫瘍での入院も含めた数字です。この調査の対象は会社の健康保険組合に加入している人で、75歳以上は含まれません。現役世代の目安として読めます。

同じ調査では、心筋梗塞や脳卒中などの循環器系の病気が1回の入院あたり144万9千円、15.9日。腫瘍での入院より金額も日数も大きくなりますが、現役世代に限れば2週間前後で退院しています。

年齢を問わず全国の患者を数えると、日数の幅はもっと開きます。厚生労働省の令和5年患者調査では、がんだけを数えた平均在院日数が14.4日、脳血管の病気が68.9日でした。健保組合の調査より長いのは、高齢での長い入院が数に入るうえに、数えている病気の範囲が違うからです。同じ患者調査の中でも、心筋梗塞などを含めた循環器系全体の平均から脳血管の病気だけに絞ると、日数はおよそ2倍に伸びます。多くの入院は2週間前後で終わる一方、2か月を超える病気もあると押さえれば十分です。

高額療養費制度で自己負担はどこまで下がるか

1か月に自分で払う医療費には上限があり、超えた分は戻ってきます。この仕組みを高額療養費制度といいます。上限の金額は年齢と収入で決まり、年収約370万〜770万円の会社員なら、1か月の上限は85,800円に、その月の医療費のうち286,000円を超えた部分の1%を足した額です(全国健康保険協会)。

入院で医療費が97万8千円かかった場合をこの式に当てはめると、自分で払う治療費はおよそ9万3千円。97万8千円の3割は29万3千円ですから、そこからさらに下がる計算です。

窓口での払い方も変わりました。マイナンバーカードを健康保険証として使う登録を済ませていれば、上限を超える分は最初から請求されません(厚生労働省)。登録していない場合や対応していない医療機関では、いったん3割の29万3千円を払い、あとから差額が戻ります。

入院で先に手を打てるのは、お金の工面よりも手続きのほうです。マイナンバーカードの登録は入院が決まる前に済ませておくと、窓口で29万3千円を立て替えずに済みます。

入院が月をまたぐとき、何度も入院するとき

1か月の自己負担の上限は、暦の月ごとに区切って計算されます。月末に入院して翌月に退院すると、上限は2か月分かかります

ただし、月数を単純に掛けると実際より多く見積もることになります。直近1年のうちに3か月分の上限を払うと、4か月目からは上限そのものが下がり、この収入帯では44,400円。治療が長く続くほど、1か月あたりの負担は軽くなります。

さらに2026年8月からは1年間の上限も設けられ、この収入帯では53万円が天井になりました。

公的な健康保険が効かず、手元から出るお金

上限があるのは、公的な健康保険が効く治療費だけです。それ以外に、手元から出ていくお金が残ります。

代表的なのが、個室や少人数の部屋を使ったときの部屋代です。これは自分で希望して同意書に署名した場合にかかるもので、治療のうえで必要だった場合や病院の都合で個室になった場合は請求されません千葉県「差額ベッドについて」。厚生労働省通知からの抜粋)。ほかに入院中の食事代、家族が見舞いに通う交通費、公的な保険が効かない新しい治療の費用も自分で払います。

問題は、このお金がすぐに用意できないときに起こります。静かに過ごせる部屋を希望したかったのに諦める。公的な保険が効かない治療をすすめられても、費用を聞いて断る。しかも体調を崩している本人が窓口で支払いの算段をするのは難しく、家族が代わりに動くことも少なくありません。

入院で働けなくなったら収入はどうなるのか

入院でお金が出ていく一方、働けない間は入ってくるお金も細ります。しかも、どれだけ細るかは加入している公的な健康保険しだいです。会社員なら休んだ分の給料のおよそ3分の2を受け取れますが、自営業やフリーランスは加入先によって何も出ないことがあります月収35万円の人なら、この違いは1か月あたり23万円。勤め先しだいでは、治療費の自己負担がさらに下がることもあります。

会社員が入院したときに出る、給料のおよそ3分の2

勤め先の健康保険に入っている会社員は、病気やケガで働けない間、直近1年ほどの給料の平均をもとに、およそ3分の2を受け取れます。これが傷病手当金です。連続して3日休んだあとの4日目から支払われ、通算で1年6か月まで続きます。

月収35万円の人なら、1か月休んで手元に入るのは23万円ほど。もとの月収との差は12万円で、入院が2か月続けば24万円が失われます。治療費の自己負担が9万3千円で収まっても、収入側にこれだけの穴が開くわけです。

退院してすぐ元の働き方に戻れるとも限りません。通院しながら短い時間で働く期間が続けば、収入の落ち込みもその間は残ります。

自営業とフリーランスは、加入先しだい

自営業やフリーランスが加入する国民健康保険には、働けない間の給料を補う給付が、法律上の必須項目としては置かれていません。実施するかどうかは市町村や国民健康保険組合の判断です(国民健康保険法第58条)。実施していない加入先では、入院した月の収入がそのまま止まります

月収35万円なら、1か月で35万円がまるごと入りません。治療費の自己負担が9万3千円だとしても、家計から見れば44万円分の打撃です。給付があるかどうかは、市町村の窓口や加入先の組合の規約で確かめられます。

入院で1か月休んだときの収入減の図解。月収35万円の場合、会社員は傷病手当金約23万円で12万円減、自営業・フリーランスは35万円まるまる減る

健康保険組合なら、治療費の自己負担も下がる

勤め先で変わるのは、休んでいる間の収入だけではありません。大企業やその業界団体が運営する健康保険組合なら、公的な上限よりさらに自己負担が下がることがあります。組合が独自に払い戻す仕組みで、1か月の自己負担が2万円台で頭打ちになる組合もあります。

上乗せがあるかないかで、構えておく金額は変わります。上限が2万円台の組合なら、治療費として用意しておくのは9万3千円ではなくその水準です。貯金で足りるかどうかの答えも、その分だけ楽なほうに動きます。

上乗せの内容は組合ごとに違い、共通の目安はありません。健康保険組合だけが持つ仕組みなので、中小企業などが加入する協会けんぽにはありません。自分の勤め先がどちらかは保険証の保険者名で見分けられ、上乗せの有無は組合の規約で確かめられます。

医療保険から出るお金は、どの出費を埋めるのか

医療保険から出るのは、入院したときのお金と手術のときのお金です。金額はかかった医療費に応じてではなく、契約するときに決めた「1日あたりいくら」で決まります。1回の入院で出る日数にも上限があり、2週間前後の入院なら足りても、2か月を超えると届かないことがあります

医療保険から出るのは、入院したときと手術のときのお金

入院したとき、1日あたりいくらと決めておいたお金が、入院した日数分だけ出ます。これを入院給付金といいます。手術を受けたときに、1回いくらと決めておいたお金がまとめて出るのが手術給付金です。医療保険の基本はこの2つで、ほかの保障は基本に足すオプションとして選ぶ形になります。このオプションを特約といいます。

退院後の通院や、公的な保険が効かない新しい治療(先進医療)への備えは、この特約にあたります。通院の特約を付けている人は10.3%です(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度・民間の生命保険加入者が母数)。

もらえるのは、かかった費用ではなく決めておいた額

医療保険は、かかった医療費を後から精算する仕組みではありません。1日1万円の契約で10日入院すれば10万円、実際の医療費が97万円でも300万円でも、出るのは10万円です。逆に、医療費が安く済んでも10万円は出ます。

部屋代の高い個室を選んでも、受け取る額は変わりません。ここが公的な健康保険との大きな違いです。

受け取る時期も押さえておきましょう。給付金は退院後に自分で請求してから振り込まれるので、窓口での支払いにはいったん自分のお金を充てることになります。

1回の入院でお金が出る日数には上限がある

1回の入院でお金が出る日数には上限があり、これを支払限度日数といいます。日数は契約ごとに違い、加入するときに選べる場合もあります。

仮に60日までの契約なら、69日入院しても出るのは60日分で、超えた9日分は出ません。自分の契約が何日までかは、保険証券か契約内容のお知らせで確かめられます。

保障が一生続く終身型と、期間を区切る定期型

保障がいつまで続くかで、医療保険は2つに分かれます。一生涯続くタイプが終身型、10年や60歳までと期間を区切るタイプが定期型です。

終身型は加入時の保険料が上がらず、年をとってからも保障が残るタイプです。定期型は同じ保障なら加入時の保険料が安く、そのぶん期間の区切り方で先の保険料が変わってきます。10年ごとに更新していくタイプでは、更新のたびに保険料が計算し直され、年齢とともに上がっていきます。60歳までと年齢で区切るタイプなら、その年齢まで保険料は変わりません。

医療保険では埋まらない出費もある

医療保険が埋めるのは、入院した日数分と手術の分です。退院後に働けない期間が続いても、入院していない日に入院給付金は出ません。この落ち込みを受け持つのが、働けなくなったときの収入を補う保険で、就業不能保険といいます。医療保険を厚くしても埋まらない部分なので、心配なら別に検討することになります。

海外で治療を受けたときの費用を医療保険から受け取れるかどうかは、商品によって分かれます。帰国後に請求する形で対応している商品が多いものの、対象になる医療機関や手続きの条件は契約ごとに違うので確かめてください。現地での支払いを立て替えずに済ませたい場合や、家族が駆けつける費用まで含めて備えるなら、海外旅行保険が受け持つ領域です。

「医療保険はいらない」といわれる理由はどこまで当たるか

医療保険が不要だという意見には、公的な健康保険が手厚い、貯蓄で足りる、保険料が家計を圧迫する、給付の条件を満たさないと受け取れない、という4つの根拠がよく挙がります。どれも間違いではありません。ただし当たるかどうかは読む人の家計しだいで、月9万3千円という治療費の目安と手元の貯金が分かれ目になります。

公的な健康保険が手厚いから医療保険はいらない

この主張が当たるのは、1か月に9万3千円ほどの出費を貯金から迷わず出せる人です。年収約370万〜770万円の会社員なら、1回の入院で医療費が100万円近くかかっても、治療費の自己負担はこの水準に収まります。10万円弱まで下がるのは、たしかに手厚い制度です。

外れるのは3つの場合です。入院が月をまたげば上限は2か月分かかります。個室の部屋代や食事代、通院の交通費には制度が効きません。そして休んだ分の収入減も、この上限とは無関係に発生します。手厚いのは治療費に限った話で、入院にまつわる出費の全体を引き受ける制度ではないのです。

貯蓄で足りるから医療保険はいらない

過去5年間に入院した人が手元から出したお金は、平均で18.7万円でした。20万円未満で収まった人が約7割を占めます(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度)。高額療養費制度を使ったあとの金額です。治療費の自己負担に加えて、食事代、個室などの部屋代、家族が見舞いに通う交通費、日用品の費用まで含んだ総額になります。ここに休んだ分の収入減は入っていないので、働けない期間があればその分が別に乗ります。

すぐに動かせる貯金がこの水準を上回っていれば、1回分は貯金で受け止められます。ただし1回分ちょうどでは心細さが残ります。入院が月をまたげば治療費の上限は2か月分かかり、退院してからも収入が戻らない期間が続くからです。退院後にまた入院すれば、次の分も要ります。入院1回分を出したあとにも、同じくらいの余力が残るなら、この主張はほぼ当たります。

問題は、その余力がまだ手元にない場合です。貯金は毎月少しずつしか積み上がりませんが、入院はそれを待ってくれません。保険料を貯蓄や投資に回すという考え方も、目当ての額に届くまでの空白をどう埋めるかとセットで見る必要があります。

保険料が家計を圧迫するから医療保険はいらない

毎月の保険料が家計に効き続けるのは事実です。食費や通信費と同じ固定費で、契約している間はずっと出ていきます。手厚くしすぎれば家計を圧迫します。

一方、使わずに終わったから損だという見方は、保険には当てはまりません。保険料を払っている間はずっと、自力では払いきれない出費が来ても大丈夫な状態を持ち続けているからです。何も起きなかった年は、備えが要らなかった年ではなく、要ったのに使わずに済んだ年になります。

判断すべきは、その備えが自分に要る範囲を超えていないかどうかです。保険料を動かすのは、加入時の年齢と性別、入院1日あたりいくら受け取るか、保障がいつまで続くか、どの特約を付けるか、保険料をいつまで払うかの5つ。年齢が上がるほど高くなり、入院1日あたりの金額を下げたり特約を絞ったりすれば軽くなります。自分の場合にいくらかかるかは、この5つを決めて見積もりを取れば分かります。

給付の条件に当たらないと受け取れないから医療保険はいらない

契約の条件を満たさなければ給付金は出ません。これも事実です。出る日数の上限を超えた入院は、超えた分が対象外になります。日帰りの検査入院や美容を目的とした手術のように、そもそも対象にならない入院もあります

ただし、この線引きは契約ごとに違います。何日までの、どんな入院が対象になるのかは、加入している商品の約款や契約内容のお知らせに書かれた個別の条件です。条件があること自体を理由に医療保険を退けるより、自分が備えたい場面が対象に入っているかを確かめるほうが、判断としては役に立ちます。

医療保険が必要かどうかの判断のしかた

自分に医療保険が必要かどうかは、金額を計算しなくても判断できます。入院で働けない間も収入が入り続けるか、すぐに動かせる貯金がまとまった出費に耐えられるか、医療費以外にお金がかかる事情があるか。この3つの質問に答えると、足りない部分が見えてきます。答えは入るか入らないかの二択ではなく、足りない分だけを保険に渡す形で決められます。

医療保険の必要性を測る3つの質問の図解。収入・動かせるお金・入院関連費の3つをチェックし、不安がある項目は医療保険を厚くしてカバーする

入院で働けない間も、収入は入り続けるか

確かめるのは自分の勤め先です。会社の健康保険に入っている会社員なら、休んでいる間も給料のおよそ3分の2が入ります。その水準で家賃や住宅ローン、生活費が回るなら、収入の心配は小さくなります。

入らない、または大きく減るのが自営業やフリーランスです。加入する国民健康保険に働けない間の給付がなければ、入院した月の収入はゼロ。医療保険で入院1日あたりのお金を受け取れる意味は大きくなります。

ただし医療保険から出るのは、入院した日数分だけです。退院後も働けない期間が長引く心配があるなら、そこは就業不能保険が受け持ちます。

すぐに動かせる貯金は、まとまった出費に耐えられるか

確かめるのは、通帳を見ていますぐ引き出せるお金です。入院1回で手元から出るお金と、休んだ分の収入の落ち込み。この2つを払っても暮らしが変わらず、そのあとに同じくらいの余力が残るなら、医療保険の必要性は下がります。勤め先の健康保険組合に自己負担の上乗せがあるなら、このうち治療費の部分はさらに小さくなり、答えは要らない側に傾きます。

一方、教育費や住宅の頭金として使い道が決まっているお金しかないなら、動かせる貯金は実質ゼロ。子育て中の世帯で必要性が高くなりやすいのは、この理由です。

医療費以外にお金がかかる事情はあるか

希望だけを聞けば、個室がいいと答える人は少なくありません。そこで裏返して確かめます。

  • 大部屋で数日過ごすことに抵抗はないか
  • 治療が数か月続いても通える距離に病院があるか
  • 自分が入院しても、家の支出は変わらずに出ていくか
  • 子どもの保育や送り迎えを代わりに頼める相手はいるか

どれか1つでも引っかかるなら、治療費以外に出ていくお金が上乗せされます。持病があって通院が続いている人や、小さな子どもがいる人は、ここで当てはまることが多くなります。

医療保険に入らずに後悔しやすいのはどんなときか

後悔が生まれるのは、3つの質問で足りないと出た部分を、そのままにしていたときです。

貯金の答えが厳しかった人には、部屋も治療もお金で決める場面と、体調の悪いさなかに家族が支払いの算段をする場面が待っています。収入の答えが厳しかった人は、働けない期間が延びるほど生活費の取り崩しが効いてきます。医学的には大きな問題にならなくても、記憶には長く残る種類の判断です。

入り方を誤って後悔しやすいのはどんなときか

逆に、入ったことを後悔する形もあります。

1つは、必要以上に手厚くして毎月の家計が苦しくなる場合。入院1日あたりの金額を高くし、特約を並べれば保険料は上がり、10年、20年と払い続けるうちに家計への負担のほうが大きくなります。もう1つは、内容を確かめないまま入り、いざというときに条件に当たらない場合です。日数の上限や、対象になる入院の範囲を知らずにいると、出ると思っていたお金が出ません

足りない分に合わせて、保障の対象と手厚さを決める

3つの質問で足りない部分が見えたら、そこに合わせて中身を決めていきます。調整できるのは、保障をいつまで続けるか(終身型か定期型か)、払った保険料が戻る形にするか、入院1日あたりいくら受け取るか、どの特約を足すかの4か所です。

入院1日あたりの金額に見当をつけるなら、いま加入している人の実態が出発点になります。人数が多いのは5,000円以上7,000円未満の層で、加入額の平均は全体で8,500円(男性9,400円・女性7,900円)。必要だと考える金額の平均10,100円に対して84.2%にとどまります(生命保険文化センター「生活保障に関する調査」2025年度)。思っている額より少し低いところで折り合いをつけている人が多い、という並びです。特約では先進医療を22.1%の人が付けています(生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」2024年度・民間の生命保険加入者が母数)。

出発点は、人数の多い5,000円台から7,000円台。そこから3つの質問の答えで動かします。働けない間の収入が細る人や、医療費以外の事情が重なる人は厚めに。保険料が家計に重いなら、入院1日あたりの金額を下げるか特約を絞ります。

3つの質問のうち勤め先の制度が分からない、保障をどれだけ持てばよいか決めきれないというときは、ファイナンシャルアライアンスの無料相談『保険ゲート』で、加入中の保険の過不足まで点検してもらえます。

医療保険の必要性が変わるのはいつか、どう見直すか

3つの質問への答えは、いまの生活での答えです。転職や結婚、子どもの独立で、収入の入り方も、動かせる貯金も、医療費以外の事情も変わります。変わるのは要るか要らないかではなく、どの出費にどれだけ備えるか。まだ入っていない人にとっては、いつ入るかを決める材料にもなります。

医療保険の見直しのきっかけになる出来事

就職や転職では、加入する公的な健康保険が変わります。会社員から自営業になれば働けない間の給付がなくなる可能性があり、収入面の答えが逆転します。

結婚や出産では、自分が入院したときに止まっては困る支出が増え、住宅を購入すれば毎月のローンも加わります。逆に子どもが独立すれば医療費以外にかかる事情は軽くなり、保障を減らす選択も出てきます。

定期型に加入している場合は、更新の時期そのものが見直しの機会です。保険全体をどのタイミングで見直しているかは、保険の見直し、みんなどうしてる?をご覧ください。

医療保険は何歳まで必要か、年齢をどう織り込むか

何歳まで医療保険が必要かという問いに、年齢で線を引く答え方はできません。年をとると逆向きの2つの変化が同時に起きるからです。

自分で払う分は減ります。窓口で払う割合は70歳から2割(現役並みの所得なら3割)に、75歳からは原則1割(一定以上の所得があれば2割、現役並みの所得なら3割)になります(政府広報オンライン)。1か月の自己負担の上限も下がり、一般的な所得の区分では通院だけなら2万2千円、入院した月は6万1千5百円です。

一方で、保険料は年齢とともに上がります。だからいま決めるときは、何歳まで持つつもりかを先に置いて、そこから型を選びます。70代以降も持っておきたいなら、加入時の保険料が変わらない終身型。子どもが独立するまでの十数年だけを厚くしたいなら、その年齢までと区切る定期型で保険料を抑える組み方になります。更新しながら続けるタイプを選ぶなら、更新のたびに保険料が上がる分も織り込んで期間を決めてください。年齢で切るのではなく、備えたい期間で切ると決めやすくなります。

医療保険の見直しでできること

見直しは、解約か継続かの二択ではありません。特約を後から足す、要らなくなった特約を外す、入院1日あたりの金額を下げて保険料を軽くする、といった調整ができます(生命保険文化センターの手引)。生命保険に付いている入院の保障と医療保険を両方持っているなら、重なっている部分を整理する余地もあります。それでも合わなければ、解約して入り直す選択が残ります。

解約して入り直す前に確かめること

いまの契約をやめて新しい医療保険に入り直すときは、順序が大事です。年齢が上がった分だけ保険料は上がり、健康状態によっては新しい保険にそのまま入れるとは限りません生命保険文化センター)。新しい契約の成立を確かめてから解約すれば、保障のない期間ができずに済みます。体調を崩してからでは選べる範囲が狭まるので、動くなら健康なうちのほうが選択肢は多く残ります。

医療保険についてよくある質問

最後に、3つの質問の枠に収まりきらない個別の疑問を4つ取り上げます。

今入っている医療保険はやめてもいい?

働けない間の収入、動かせる貯金、医療費以外の事情の3つに当てはめて、足りない部分が残っていないかを先に見ます。残っていないなら、やめる前に入院1日あたりの金額を下げる、特約を外すという軽くし方があります。生命保険に付いている入院の保障なら、本体を残してその部分だけ外す形です。解約すると同じ条件では入り直せないので、保険料が重いだけなら減額から試すほうが安全です。

子どもに医療保険は必要?

子どもの医療費には、すべての都道府県と市区町村が助成を設けています(こども家庭庁の調査)。窓口負担は大人ほど重くならず、対象になる年齢や範囲は自治体で違います。判断が分かれるのは、付き添いや通院にかかる費用と、その間に親の収入が減るかどうかです。

持病があると医療保険には入れない?

通常の医療保険が難しくても、健康状態について答える項目を絞った引受基準緩和型という種類があります。答える項目は3つほどに絞られ、その代わり保険料は割高で、契約から1年間は給付金が半額になるタイプもあります。項目の内容は保険会社によって違うので、加入前に確かめてください(生命保険文化センター)。

がん保険に入っていれば医療保険はいらない?

がん保険が対応するのは、がんと診断されたときと、その治療にかかる費用です。がんが原因ではない入院、たとえば骨折や出産での入院は対象になりません。がんの治療費を厚く備えたいならがん保険、入院の理由を問わずに備えたいなら医療保険と、役割が分かれます。両方を組み合わせて持つ考え方もあります。

まとめ

医療保険が必要かどうかは、入院や手術で手元から出ていくお金を、自分の収入と貯金で払えるかどうかで決まります。年収約370万〜770万円の会社員なら治療費の自己負担は月9万3千円ほどに収まりますが、部屋代や交通費、休んだ分の収入減はここに含まれません働けない間の収入、動かせる貯金、医療費以外の事情という3つの質問で足りない部分を見つけ、そこに合わせて保障の対象と手厚さを決めてください。生活が変わったときには、同じ3つをもう一度確かめ直せば十分です。

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この記事を書いた人

営業拠点73支店、取扱保険会社47社、コンサルタント1,700名超、実績10万件超、保険代理店のファイナンシャルアライアンス株式会社です。
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